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■カツ弁護士の掲載記事一部をご紹介 |
| 産経新聞 |
ボランティア消防士熱い思い「助け合い必ずNY再建」

米中枢同時テロは11日で発生から1ヶ月を迎えた。ボランティア消防士として崩壊した世界貿易センタービルに飛び込み、創作活動を続けてきた弁護士、フィリップ・カツさん(32)はこの1ヶ月間を振り返り、「多くの仲間を失った心の傷は深く、今も癒えないが、生きて人を助けることが出来る幸せを実感している。助け合って必ずニューヨークを再建したい」と語った。
救出・捜索活動にあたった消防士たちからも、1次災害などで343人の犠牲者がでた。カツさんはウォール街で弁護士活動を行う一方、自宅がある郊外のロングアイランド・ナッソー郡グレートネックの消防署でボランティア消防士活動を行っている。職業消防士が在籍するマンハッタンを除けば、米国で住民が訓練を受けて、無給で消防士を兼務するのが一般的。カツさんも1年前に「お互いに助け合っている。人を助けたい」と志願した。あの日。出勤途中の地下鉄車内で事件発生を聞いた。地上に出ると、わずか数百メートル先で2機目の旅客機が世界貿易センタービルに激突、ビルが崩れ始めた。装備のため地元の消防署に戻ろうとしたが交通がマヒしており、徒歩で6時間かかった。そして翌十二日朝、消防服に着替えて消防署仲間20人で「グラウンド・ゼロ」(爆心地)に駆けつけた。
がれきの下に、損傷の激しい痛いが無数にあった。地獄絵のような光景で、途方にくれた。マスクをつけて、がれきの山を掘り続けた。遺体の部分を見つけては、遺体袋に入れて市厚生局に運んだ。作業中、何度も周囲のビルが崩壊した。がれきの間から生存者が救出されると、同僚や警察官らと拍手して喜んだ。奇跡が起きたと感じた。だが生存者を救出しようと、がれきの間のわずかな隙間に入り込みそのまま不明になった勇猛な同僚もいる。そんな仲間の遺体にも何度も遭遇した。「どの消防士も自分が生き残ったことに、感情的な苦しみから逃げられなかった」13日も深夜まで、がれきと格闘した。その後も法行の弁護士として犠牲者の法律相談を無償で引き受けている。カツさん以外にも多くの市民があらゆる部門のボランティアを申し出て、献血や寄付にも長い列が出来た。冷徹な大都会と思われていたニューヨークだが、人情は厚かった。許せないテロだが、そのことを確認できたのはうれしかった。カツさんは20歳のとき、大学の交換留学生として大阪府枚方市で2年半、ホームステイした。以来、日本が好きになり、今も岐阜県に弁護士事務所の支部を置くほどの親日家でもある。「人を助けることで自分も人に助けてもらえる。助け合えば、テロもなくなる。このことを日本の人にも知ってもらいたい」と話している。
| NY ジャピオン (2003年8月1日掲載) |
「消防士として1年に200回出勤!」
「緊急時に備えていつもポケットベルはオンにしています」と話すのはロングアイランドのグレートネックで消防士としてボランティア活動をしているフィリップ・カツ弁護士。3年前に消防士、そして去年EMT(救急医療技術者)の資格を取得し、現在は多忙を極める弁護士業の寸前を惜しんで消化・人命救助活動に献身している。1年に200回以上も出勤するというから、その熱の入れようは半端ではない。2年前の米中枢同時テロの時も崩壊した世界貿易センタービルで捜索活動にあたった。さらに本職である弁護士としても犠牲者の法律相談を無償で引き受けた。「人を助けることで自分が救われることもある。お互いに助け合うことが大事だと実感しました」と当時を振り返る。
交換留学で関西外国語大学に2年間在籍しただけあって、日本語はペラペラ。「関西弁のほうが話しやすいのですが、仕事ではなるべく標準語を使うようにしています」とパーフェクトな日本語で話してくれた。何事にも真撃に取り組む熱血弁護士だ。
| U.S Town Journal |
生き延びたからではなく、人を救える幸せ
「事件現場のボランティア消防士に聞く」
弊紙で「よくわかるアメリカの法律」を連載していただいている弁護士のフィリップ・カツさんは、以前からボランティアで消防士をしている。今回のテロ事件によって崩壊した世界貿易センタービルの現場でも、カツさんはレスキューとして活動した。現場の模様と、あめりかにおけるボランティアの立場と活動方法について話を聞いた。
弁護士という職業をお持ちなのに、なぜボランティアの消防士を
私には常に人を助けたいという気持ちがあり、弁護士になった理由もそうした思いからです。しかし世の中には身体が不自由で弁護士に会うために事務所に来ることさえ出来ない人もいます。そうした人を直接助けるにはどうすればよいか考えた結果、消防士になることにしました。火事になった時、建物から自分で脱出できないため命を落とすひとがたくさんいます。特に身体が不自由であるための被害は、何としてでも避けなければなりません。車椅子に乗っている人は階段を降りることも出来ないわけです。人は助け合って生きてるのです。ですから、消防士になろうとしたのは本当に自然な気持ちからで、ただ当たり前のことをしていると思っています。
消防士になるために、どのような訓練をなさったのでしょうか?
消防士になるには、まずファイアースクールに行かなければなりません。まう、1年かけて40時間コースのクラスに通い、消防士としての資格を得ます。しかし、それからが大変です。たとえ資格が得られても、その後継続して訓練をしなければ意味がないからです。そのため毎週1回3時間の訓練を通して、技術を磨きます。この訓練にはもちろん終わりはありません。私自身は弁護士の仕事と掛け持ちしているため、二束のわらじを履くことは時間的にきついと感じることもあります。でも不思議とやめたいと感じたことはありません。それはやはり人を助けることが出来るという実感があるからです。また、消防士は火事が発生した場合にすぐ出かけられるよう、消防署の近くにすまなければなりません。ちなみに私の自宅はロングアイランドの消防署の近くにあります。
今回の事件現場では、どのような仕事をされたのですか?
まずは瓦礫の山となったビルをひとつずつ撤去する作業です。生存者がいる場合に助けられるよう慎重にしなければなりません。そして遺体の一部が見つかるたびにグラウンド・ゼロからステート・デパートメントに運びました。実際にあの状況を体感することと、メディアを通して知るのとではまったく違います。まさに目を覆いたくなるなるような光景でした。言葉が出ないというか・・・このようなかたちで、突然、しかも大勢の人たちがなくなってしまい、誰もが途方にくれていました。ここまで大きな規模の現場を体感したことがなかったからです。そして同じ仲間である400人近くの消防士を失ったことによる心の傷は、本当に深いものです。どの消防士も、感情的な苦しみから逃れられませんでした。遺体を見つけるたびに、体を寄せ合って励ましあいながら、なお業務を遂行しました。この事件を通してボランティアが脚光を浴びています。どんな団体があり、どのようにすればボランティアとして働くことが出来ますか
有名な団体としては、赤十字や救世軍です。そのほか、公共団体ではWELFARE SERVICEがあります。ウェストチェスター地区は特にボランティアが盛んですよ。もしこうした活動に興味があるのであれば、市役所に電話をして情報を得るといいのではないでしょうか?日本の方々は、アメリカに来るとアメリカ人のボランティア精神に驚かれるようですね。確かに、アメリカでは日本よりもボランティアが行き渡っていると思います。しかし、ニューヨークのような大都市では、これでもまだ十分ではないと思いますが。ただ、今回の事件ではすでにボランティアは足りているので、連絡しても断られてしまうでしょう。あまりにもたくさんの人が名乗りを上げたため、逆に混乱が生じているほどだからです。多くの人たちが協力しようとしていること自体はとても嬉しいことなのですけどね。今できることといえば、献血や、募金、洋服や道具を寄付するといったことでしょうか。
実際に現場でのボランティアへの依存度はどのくらいでしょうか
はっきりした数はわかりません。しかし、仕事によっては特別なスキルを要求される場面が多いため、必ずしもボランティアを引き受けることが得策ではないのです。その良い例が遺体の鑑定です。スタッフにはボランティアも含まれているとは思いますが、せいぜい数十人でしょう。やはり、何か資格を持っていて初めて現場に直結する仕事が出来るという場合が多いと思います。
グランド・ゼロに身を置かれて、どのようなことを思われましたか
今まで火災現場で働くたびに人々を助けることが出来て幸せであると感じていましたが、今回の経験を通して、その思いはさらに強まりました。なくなった方々のことを考えると、生きていられる上に人を助けることまで出来る自分はラッキーだとしか思えません。今働いている事務所は現場から近いため、ビルが崩れる様子が見えたのです。幸いにも同僚達全員が誰も巻き込まれることなく無事でした。あの事件の日は地下鉄が普通になってしまって、ロングアイランドの自宅まで歩かなければなりませんでした。電話も通じなかったため家族と連絡も出来ず、みなとても心配していました。家に到着したときは、奇跡としか思えませんでした。こうした経験をした結果、以前よりほんの何気ない出来事にも喜びを見出せるようになったと思います。今も生きていられるという事実は幸せ以外のなにものでもありません。また、消防士が命を欠けて働いていることを、より多くの人たちに認めてもらうことが出来たのも事実です。ひとびとが彼らが真のヒーローであることを改めて実感し、今まで以上に尊敬の念を抱いてくれること、そのことによって私自身さらなる責任を感じています。
最後に、これからニューヨークにとって大切なことは
今一番大事なことは、またニューヨークを元に戻すための努力をすることです。実際にあの現場を目にすると、本当に絶望的な気持ちになります。これからの道のりは相当長いでしょう。しかし、すでにニューヨーカー達はそのために一生懸命働いています。そう、今回の件でアメリカ人を含む世界中の人が驚いたのは、ニューヨーク市民の助け合う姿でしょう。普段ニューヨークは、「冷たい人ばかりで、誰も助けてくれない」ということになっているようですが、そんなことは決してないことが証明されたのではないでしょうか。どこであれ、良い人もいれば悪い人もいます。今まではただ忙しさにかまけて、そういった良い面を引き出すきっかけがなかっただけです。こうした助け合いが一番必要なのであり、みなが団結し、少しでもいいから状況をよりよい方向へ持っていくことです。私はニューヨークが大好きです。ニューヨークで生まれ育ち、今でもここで暮らし、これからもそうすることでしょう。ここから離れて生活するなんて、とても考えられません。それほどニューヨークは魅力的な街です。この街をよりよくするために、私はこれからも今の仕事を続けるつもりです。それがなんといっても幸せだからです。

■フィリップ・カツ弁護士